書店とカフェを併設したブックカフェが近年増えてきています。落ち着いた空間で美味しいドリンクとともに本を楽しめるブックカフェは、読書好き人気なだけでなく日頃本に慣れ親しんでいない人が本と出会うことができるとしても人気です。
そこで今回はこれからブックカフェを開業したいと考えている方に向けて、ブックカフェ開業に必要なものやブックカフェの開業を成功させる秘訣について解説します。ブックカフェの開業に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
まずはブックカフェを開業するときに必要なものについて解説します。
ブックカフェを開業するにあたり、最低限必要な開業資金は500〜1000万円です。カフェの規模にもよりますが、最低でもこれくらいの資金は調達しておく必要があります。またどんな場所にブックカフェを開業するかによっても、開業資金は変わってくるでしょう。
ブックカフェを開業するときはまず店舗となるテナントを借りなければいけません。一般的に店舗を借りる際は敷金・礼金、保証料、仲介手数料と毎月の家賃を支払うことになります。敷金と礼金は家賃の1ヶ月分、保証料は家賃の10ヶ月分を契約時に支払うことになりますが、この料金に関してはテナントの条件や保証会社・仲介会社によって異なりますので、契約前に確認するようにしましょう。大規模なブックカフェでない場合、15〜20坪の客席面積があればブックカフェとして十分な広さがあります。店舗にかかる初期費用は200〜300万円を見込んでおきましょう。
借りる店舗の内装や外装をどれくらい変更するのかによって内装・外装工事にかかる費用は変わってきます。何も内装や外装が施されていないスケルトン物件の場合、内装・外装工事には約500万円かかると考えておきましょう。内装・外装工事にかかる費用をできるだけ抑えるためには、以前別の飲食店が入っていた店舗を借りるのがおすすめです。このような居抜き物件の場合、調理設備や水回りなども整っているため、スケルトン物件と比べて大幅に費用を節約することができます。
ブックカフェを開業するにはドリンクを作るための調理器具や食器を揃えなければなりません。ドリンクにもこだわりを持って営業するのであれば調理器具もこだわったプロ仕様のものを用意する必要があるでしょう。また落ち着いた空間が求められるブックカフェでは食器類にこだわるオーナーさんも多いです。目でも楽しめるような美しい食器を用意したり、カフェオリジナルのカップやスリーブなどを用意することもあるでしょう。
ブックカフェには本や雑誌が欠かせません。個人で経営するブックカフェの場合は大量の本を揃えることは難しいですので、特定のジャンルに特化したブックカフェが多いです。どのような本をどれくらい用意するのかによってかかる費用は異なりますが、予算と相談しながら本の種類や量を決めていきましょう。写真集・画集・エッセイ・国内小説・海外小説など初めはジャンルを絞って揃えるのがおすすめです。
ブックカフェを開業するときの準備からオープンまでの流れを紹介します。
ブックカフェを開業するときに決めなければならないのが、お店のコンセプトと経営プランです。雰囲気作りが大切なブックカフェはコンセプトがとても重要です。特に小規模で限定した種類の本を置く場合は、コンセプトがはっきりしていなければ集客のアプローチがしづらくなります。また今後どのようなプランで経営していくのか中長期的なプランを立てる必要もあるでしょう。
ブックカフェは飲食店の扱いになりますので、最低一人は食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者は受講すれば取得できる資格です。栄養士、調理師などの資格を持っている場合は、食品衛生管理者の資格取得は免除されます。
資金調達を始めるのと同時に、店舗となる物件探しを行いましょう。物件探しはコンセプトやターゲットとする層を考えてエリアや駅からの距離なども考慮して決めるようにしてください。居抜き物件を選ぶのかスケルトン物件を選ぶのかによって、その後発生する費用が大きく変わります。スケルトン物件で理想通りのカフェにしたいという人も多いかもしれませんが、予算と相談しながら決めていきましょう。
物件が決まったら営業許可を申請することになります。営業許可は自治体によって異なるため、決めた物件の管轄である保健所のホームページをチェックしてください。開業に向けて常に最新の情報をチェックしておくようにしましょう。
ブックカフェに欠かせない本と食器類を調達し、ドリンクの提供に必要な食材などの仕入れ先を決めていきます。本や食器、食材はオーナーのこだわりが出る大切なポイントですから、厳選して決めましょう。
広告宣伝を行います。広告宣伝方法はポスターやフライヤーを近隣の店舗に置かせてもらったり、フライヤーをポスティングするなどの方法があります。また最近はSNSを使った広告宣伝も効果が期待できます。一度だけ広告宣伝をするのではなくオープン日に合わせて集客できるようなアプローチを考えましょう。
ブックカフェの開業を成功させるためには、コンセプトとターゲットを明確にし、他のブックカフェと差別化を図ることが大切です。今ブックカフェは増えていますが、近隣に同じようなコンセプトやターゲットのブックカフェがあると思うように集客ができません。またあれもこれもとコンセプトを盛り込んでしまいすぎると、結局どの層にも刺さらないお店になってしまいます。お店のコンセプト、揃える本のジャンルなどしっかり考えて、どんな客層に来店してもらいたいのかを決めていきましょう。
ブックカフェは本を読むことも楽しみの一つのため、通常のカフェと比べると一人のお客さんが滞在する時間が長く回転率が悪いという特徴があります。回転率の高さを補うためには客単価を上げることが必要です。高級感を出すことでドリンクの値段を高く設定するのはもちろんですが、お菓子とのセット販売や時間制での料金なども検討してみましょう。
イベントスペースとして貸し出したり、読書会を行うことでブックカフェ以外での収入を作るのも成功の秘訣です。地域の人が交流できる場としてブックカフェは様々な可能性を持っています。カフェ以外での収入源も検討しておきましょう。
本離れが進んでいる時代とも言われていますが、落ち着いて一人の時間を楽しめるブックカフェへのニーズは高まっています。ブックカフェを開業するならコンセプトとターゲットをしっかり決めて、街の人に愛されるカフェを目指しましょう。