内装の工事をお願いする施工業者には、これまでに決めてきたお店のイメージやコンセプトをしっかりと共有することが大切です。ここでイメージやコンセプトの共有ができていないと、内装が自分の思っていた雰囲気とは別のものに仕上がってしまう可能性があります。施工業者にイメージを伝える時は以下のことに気を付けてみてください。
自分の理想とする雰囲気の写真を検索して、いくつかピックアップしておきましょう。建築雑誌やグルメ雑誌、WEBサイトなどで、自分のイメージに近い店舗の写真を切り抜いてまとめておいても良いですね。実際の写真をみることで、口頭で伝えるよりもより具体的なイメージの共有ができます。『この照明の色味が好き』だったり『このカウンターの木の質感がよい』など、細かいレベルで共有できればなお良いです。
思い描く具体的なイメージを箇条書きに書き出して伝えるのも良いでしょう。初めから綺麗にまとめようとするのではなく、とにかくたくさん書き出してみると、自分自身のイメージも整理されていくのでおすすめです。希望席数は何席で、インテリアは木を基調としたナチュラルな雰囲気、店内はどちらかというと明るめで、大衆的というよりは落ち着いた隠れ家のような雰囲気……などのように、細かく書き出すようにしてみてください。
『5W1H』は
を表しています。これらの要素について明確に伝えるだけでも基本的な要点を抑えることが出来ます。
ここからは設計図が完成するまでにやっておくべき準備について紹介したいと思います。
詳細な工期についてはプランができあがってからになりますが、プランができる前に大まかな工期を確認するようにしましょう。工期は居抜き物件なのか、スケルトン物件なのかによっても大きく変わります。内装デザインによっても1週間なのか1カ月なのかスケジュールが変わるので、おおまかな予定を把握しておくと安心です。
飲食店開業において厨房機器の準備は欠かせません。自分がどんなお店をつくりたいか、どんなメニューを提供するかなどによって、必要な厨房機器やスペックが変わってきます。直前に準備しようとすると、抜け漏れがあったりスペックが足りていないという事態になりかねないので、早めにコンセプトに基づいた具体的なプランを考え、必要な機材をリストアップしておきましょう。居抜き物件であれば、引き取った機材の中で廃棄するもの、使うもの、そして新たに購入するもののリストを作っておくのもおすすめです。
厨房機器は、内装業者が厨房の発注まで代行してくれる場合と、厨房の専門業者などを通じて別で発注する場合とがあるので、必ずオープンまでに間に合うように手配するようにしましょう。
どのような食器や調理器具を使うかは、どのようなメニューを提供するかに関わってくるため、メニューがまだ曖昧だという場合は早めにメニュー決めを行うようにしましょう。メニューがある程度決まったら、メニューに合わせて食器や備品の手配してみてください。
意外と忘れがちなのが電話やインターネットの契約です。開業準備の中には、店舗の宣伝のためのフライヤーやWEBサイト作成、看板作製など、事前に電話番号がわからないと進められないこともあります。また、最近ではデジタル化が進み、飲食店にも当たり前にメール予約システムや電子決済システムが導入されていますよね。そういったシステムにも対応するためには、なるべく早めにサービスを検討しておくと良いでしょう。
内装の設計図が完成したら、いよいよ施工業者へ依頼する段階となります。ここからは施工業者へ依頼する際の流れについて紹介します。
設計会社に内装設計プランを依頼した場合は、設計図が完成してから実際に内装を施工してくれる業者を選定することになります。この場合は、設計者が普段から付き合いのある施工業者を紹介してくれるというケースが一般的です。
見積書の金額と、工程表のスケジュールを照らし合わせて、より条件のよい業者を選びましょう。施工業者を選ぶ際は
などのポイントがあります。施工業者の選び方については『内装工事の費用や業者の選び方』で詳しく紹介しているため、そちらをご覧ください。
プランの最終見直しでは大幅な変更ではなく、材料をワンランク下のものにしたい、不要な棚をなくしたい等の微調整を行います。出来る限り費用を減らしたり、こだわりたいポイントがある場合は、スケジュールに影響のない範囲でできることを設計者や施工業者と相談してみてください。
最後に、店舗の雰囲気を左右する重要な要素であるインテリア選びについて紹介します。インテリアはなるべく安いものや、単なる自分の好みだけで決めてはいけません。インテリアも内装や物件の立地と同様に、お店のコンセプトをアピールするためのものなので、選ぶ際は以下のチェックポイントを意識してみてください。
店舗のデザインコンセプトをもとに、ご自分のお店をどのような雰囲気にしたいかという視点からインテリアを選んでみてください。例えば、カフェのように居心地の良い空間にしたいのであれば、癒し効果の高いナチュラルな素材やカラーリングで、長時間座っていても疲れにくい椅子やテーブルの高さ設定が必要になります。また、ターゲットが若者なのか大人なのかなどによっても雰囲気は変わってくるでしょう。このようにコンセプトに基づいていくつかの条件を洗い出し、みえてきた条件や雰囲気にあわせて選んでみてください。
コンセプトに合ったインテリアの色調やトーンも大切ですが、飲食店なので『料理が映えるか』という視点も大切です。料理がおいしそうに見える店内の色合いなどを考えると、一般的には赤やオレンジ、黄色などの暖色系が良いとされています。また白やアイボリーなど明度の高い色は、空間を広く見せる効果があり開放感を演出できるので、そういった色彩による効果も意識してみると良いでしょう。
スタッフやお客さまの導線を考えて、スムーズにオペレーションできるかどうかも大切です。テーブルや椅子は座り心地はお店の居心地の良さに大きく関わりますし、トイレや会計に行きやすいかどうかもお店の印象を左右します。
いかがでしたか。内装工事が始まる前にも施工業者との打ち合わせや、その他必要機器の準備などやることはたくさんあります。あとになって慌てて準備をして、オープンの時に不備が出ないように余裕をもって準備するようにしましょう。