【飲食店開業マニュアル】⑱資金調達のコツについて

飲食店の開業資金の調達方法

飲食店の開業資金には1000万円ほどかかると言われており、そのうちの約3割である300万円は自己費用でまかなう必要があるとされています。

それらの資金を全て貯金でまかなうのは難しいですよね。飲食店の開業資金の調達方法には以下のようなものがあります。

親族関係からの資金調達

親族からの資金調達は、金利が高額にならないことや、人によっては借りやすいことから意外とポピュラーな方法です。また、親族からの資金調達を行うメリットとして大きいのが『血縁や親族からの資金調達が資産扱いになる』という点です。

そのため、親族から借りた分のお金を自己資金扱いにし、その他の融資を受けやすくなります。自己資金が少ないという方には特におすすめの方法です。

パトロンからの資金調達

パトロンなどの支援者がいる場合は、支援者からの資金調達を行う場合もあります。しかしこの場合、調達した資金は自己資金扱いにはなりませんので注意してください。

民間の金融機関からの融資

銀行などの機関から融資を受けるのは多くの方が行う資金調達の方法です。地方銀行なのか都市銀行なのかによって借りれる金額や金利が異なりますので、いくら資金調達しなければならないのかも考えて選択するようにしましょう。

日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫から融資をうけることも可能です。この場合、金融機関に出向かなくていいことや新創業融資制度より1%利率が低いことなど、様々なメリットがあるので利用出来る方は積極的に考えておくとよいでしょう。

飲食店開業するなら知っておきたい制度まとめ

飲食店を開業したいと思っている方に、是非知っておいてもらいたい制度があります。それらを活用することで、よりよい条件で資金調達することが出来るので検討してみてください。

中小企業経営力強化資金

中小企業経営力強化資金とは『創業時に無担保・無保証人、低金利で融資を受けられる制度』のことです。

これは政府系の金融機関である日本政策金融公庫が、新しい産業を産み育てることを目的に行っている制度の1つであり、2000万までは無担保・無保証人で、最大7200万まで借り入れることができます。

2000万円あれば多くの飲食店開業の資金としては足ります。それらの資金を無担保・無保証人で借り入れることができるため、是非活用したい制度です。

中小企業経営力強化資金の概要は以下の通りです。

【融資限度額】

7200万(うち運転資金4800万)

【対象】

  • ①経営革新又は異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方
  • ②自ら事業計画の策定を行い、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導及び助言を受けている方※上記全てに当てはまる方が対象となります

【返済期間】

  • ・設備資金は20年以内(うち据置期間は2年以内)
  • ・運転資金は7年以内(うち据置期間は2年以内)

【保証人&担保】

2000万までは不要

【利率】

2000万以内で無担保・無保証人で融資を受ける場合は2.11~2.40%。それ以外の方は1.16~2.25%

中小企業経営力強化資金を活用するメリット

中小企業経営力強化資金を活用するメリットには、以下のものがあります。

  • ・低金利
  • ・2000万までは無担保・無保証人で融資を利用できる
  • ・自己資金割合の要件がない
  • ・創業直後から利用ができる

中小企業経営力強化資金を活用するデメリット

中小企業経営力強化資金を活用するデメリットには、以下のものがあります。

  • ・細かい事業計画書が必要
  • ・定期的な報告が必要
  • ・繰り上げ返済が認められていない
  • ・認定支援機関に報酬を払わなくてはいけない

があげられます。

中小企業経営力強化資金制度を利用する手順

中小企業経営力強化資金制度を利用する際の手順は、以下の通りです。

  • ①認定支援機関に相談
  • ②必要資料準備
  • ③資料を専門家に郵送
  • ④面談
  • ⑤日本政策金融公庫の担当者が現地調査
  • ⑥融資決定
  • ⑦公庫から送られてきた必要書類に記載して返信
  • ⑧借入額が着金

新創業融資制度

新創業融資制度は『無担保・無保証人で最大3000万まで借り入れることができる』制度であり、日本政策金融公庫は、新しい産業を産み育てることを目的に取り組まれている制度の1つです。新創業融資制度の概要は以下の通りです。

【対象】

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方
以下のいずれかに当てはまる方

  • ・雇用の創出を伴う事業を始める方
  • ・技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
  • ・現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、現在の企業に継続して6年以上お勤めの方、または、現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
  • ・大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方
  • ・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
  • ・地域創業促進支援事業による支援を受けて事業を始める方
  • ・公庫が参加する地域の創業支援ネットワークから支援を受けて事業を始める方
  • ・民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方
  • ・既に事業を始めている場合は、事業開始時に上記のいずれかに該当した方

【返済期間】

格融資制度が定める返済期間以内

【保証人&担保】

不要

【利率】

約2% ※市場動向で変化

新創業融資制度を活用するメリット

新創業融資制度を活用するメリットとして、以下のものがあります。

  • ・決算書をださなくても融資を利用できる
  • ・無担保・無保証人で融資を利用することができる
  • ・自己資金割合の要件が緩い
  • ・融資実行までのスピードが速い(申し込みから融資まで約1ヶ月)
  • ・返済期間が長い
  • ・銀行などの制度融資に比べて金利が安い
  • ・返済期間を20年までのばすことができる

新創業融資制度を活用するデメリット

新創業融資制度を活用するデメリットとしては、若干金利が高めという点があげられます。

新創業融資制度を利用する手順

新創業融資制度を利用する際には、以下の手順で申請を行いましょう。

  • ①相談
  • ②融資の申し込み
  • ③面談
  • ④融資実行

融資をうけやすくするポイント

融資審査に通りやすくするためには、以下のことに気を付けてみてください。

自己資金を出来るだけ貯めておく

自己資金が多いほど、融資審査は通りやすいとされています。自己資金は最低でも融資希望額の1/10以上は必要とされていて、飲食店開業おいては300万円以上が相場だといいます。

そのため、自己資金がほとんどないから融資を受けよう、という考えだと融資審査に通らない可能性があります。融資審査の前から、ある程度の貯蓄をするようにしておきましょう。

コツコツと積み立てる

融資では、その自己資金がどのように貯められたものなのかどうかも重要視されます。例えば、同じ貯金通帳でも、数年間にわたってコツコツと積み立てられたものなのか、ある日突然多額の金額が振り込まれたものなのか、それによって審査員が受ける印象は違ってきます。

融資を受ける際には、直近半年分の通帳コピーを提出しなくてはならないため、コツコツと積み立てられた自己資金である印象を付けるには少なくとも半年以上前から計画的に積み立てをしておく必要があります。

既に半年以上前に目標の金額に達している場合、それ以降も徐々に増えているような通帳であれば、審査員は『この人は開業資金を貯めるためにコツコツ貯金をしてきた人なのだな』という印象をうけるでしょう。

しかし、半年前の時点では貯金がほぼない状態で、直近にまとまった額が入金されているような通帳では『計画性のない人』と判断されてしまう可能性があるのです。

事業計画を充実させる

事業計画書が充実していれば、より融資審査に通りやすくなります。事業計画書を書くときに意識すべきは

  • ・創業の動機
  • ・経営者の略歴等
  • ・取扱商品・サービス
  • ・取引先・取引関係等
  • ・従業員
  • ・お借入れの状況
  • ・必要な資金と調達方法
  • ・事業の見通し

等のことについて、明確に記載していくことです。

まとめ

いかがでしたか。資金調達がスムーズにできるかによって、飲食店開業が出来るかどうかが決まると言っても過言ではありません。今後融資審査を受けるという方は、是非本記事で紹介した内容を参考にしてみて下さい。


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