ミキサーやジューサーを使って店頭で生の野菜やフルーツのジュースを作り、それをお客に提供するジューススタンドは、近年かなり注目度が高まっている存在です。
今回はそんなジューススタンドの開業について、開業にあたって何が難しいのか、どんな準備や資格が必要なのか、開業・経営を成功させるためにはどんな点に気をつければいいのかなどについてご説明します。
生の野菜やフルーツを使ってジュースを作るジューススタンドは、野菜不足・ビタミン不足の現代人にとって注目される存在のひとつですが、ジューススタンドの開業・経営には難しい部分もあるのは事実です。
ジューススタンドの開業・経営が難しい理由のひとつとして、まず「原価率が高くなりやすい」というのが挙げられます。
まず、一般的なソフトドリンクと比べて野菜やフルーツなどは仕入れの段階で大きなコストがかかりますし、さらに生の野菜・フルーツを使ってジュースを作るとなると、当然ながらジュースが売れずに傷んでしまったものは廃棄せざるを得ず、食材ロスが多く出てしまうというリスクも高くなります。
そしてもうひとつ、ジューススタンドの開業・営が難しい理由として「好立地が求められる」というのも挙げられます。
ジューススタンドはお客が席に腰を落ち着けてじっくり過ごすような場所ではないだけに、何か飲みたいからといって、わざわざ遠くのジューススタンドを探し、そこまで足を運ぼうと考えるような人はめったにいないというのが事実です。
できるだけ食材をロスせずフレッシュなジュースを提供し続けるには毎日多くのお客さんに来てもらう必要があり、そのためには人が多い好立地な場所を選ぶことが求められます。
ジューススタンドを開業するためには、物件探しが必要なのはもちろんのこと、ジューサーやスムージーなどの設備およびジュース用コップなどの用意、そして野菜やフルーツの仕入れをどうするかなどを決めておくことも必要です。
そしてジューススタンド開業のためには、都道府県知事による飲食店営業許可を得る必要もあります。(飲食店営業許可の申請窓口は保健所となります)
飲食店営業許可を得るためには、
この3つの要件を満たしていることが必要です。
調理師や栄養士、製菓衛生士、船舶料理士、食鳥処理衛生管理者、食品衛生管理者の資格保有者ならすぐに食品衛生管理者になることができますが、そうした資格がない場合は食品衛生責任者養成講習を修了しなければ食品衛生管理責任者にはなれず、飲食店営業許可も得ることはできません。
こう聞くと食品衛生管理者になるためのハードルはかなり高そうに思えてしまいますが、実際には講習は1日で修了できるため、それほど気負う必要はありません。
ジューススタンドの開業には、適切な設備を揃える必要があります。主な設備として、以下のものが挙げられます。ジュース提供に必要な設備・調理機材についてご紹介します。
野菜や果物をミキサーやジューサーにかけてジュースにします。さまざまな種類のジュースを作るために不可欠な機器です。
ジュースとして使用したり、飾りつけのためのフルーツや野菜などの原材料、また出来上がったドリンクなどを冷却、保管するための冷蔵庫です。ジューススタンドでは必須となります。
氷を使用する場合や、冷凍のフルーツや野菜を使用する場合には冷凍庫が必要となります。
フルーツや野菜をカットするための包丁やまな板なども必要となるでしょう。
上記の設備を選ぶ際には、ジュースの種類や販売量などを考慮します。食中毒などの防止のため、設備のメンテナンスや清掃も重要な要素です。また、キャッシュレス時代の昨今では、QR決済や電子マネー等に対応することが非常に重要です。
次はジュースバーで必要となる備品をみていきましょう。これには、カップやストロー、ミキシングボウル、カッティングボードなどが含まれます。
カップやストローは、ジュースを提供するための必須アイテムです。これらの備品は、ジュースの提供方法やコンセプトに合わせたデザインであることが重要です。
ジュースは色が鮮やかな色、またはデコレーションを施すことで、SNS映えが期待できます。そして設備同様に清潔な備品の管理や補充も重要な業務です。
前述のとおり、ジューススタンドの開業・経営においては原価率の高さおよび立地という大きな壁があります。ここではジューススタンドの開業・経営を成功させるために必要なポイントについて説明します。
野菜やフルーツの仕入れは、自分で直接買いつけをする方法と業者に配達してもらう方法とがありますが、少しでも仕入れコストを下げたいのであれば直接買いつけのほうがおすすめです。
また、食材ロスを減らすためには冷凍野菜や冷凍フルーツを使うという手もあります。冷凍しても舌ざわりが変わりにくいものなどを中心に冷凍ものを使う、という感じにするのもいいでしょう。
立地も予算の範囲内でできるかぎり人が集まるところにこだわり、店舗面積自体は狭くてもいいので、気軽に立ち寄れそうで開放的な雰囲気が感じられる物件を選びましょう。
ジューススタンドは、料理にセットされるドリンクとは違い、ジュースそのものがメインとなります。通常のドリンクとは全く別のメニューとして考えましょう。
野菜や果物が主な原材料となりますが、それらの価格は高い場合が多く、原価が高くなりがちです。しっかりと利益を出すためには、原材料の産地やおいしさにこだわっていることをアピールしましょう。
そうすることで通常のドリンクよりも価格を高く設定することが可能となります。
ホームページの作成には時間やお金がかかる場合があります。まずは無料のSNSで情報を発信していくのも広告宣伝としてひとつの方法といえます。
色鮮やかで見た目を華やかにできるジュースはSNSとの相性が良いメニューです。SNSを利用している人たちは意識が高い傾向があり、健康への関心があるひとも多くみられます。
そのような人たちの目に留まるようにカップやストローなどの備品のデザインにも気を遣うといいでしょう。
また、ジュースはミルクやスイーツなど他のさまざまな材料と組み合わせが可能でアレンジの幅が広いメニューといえます。色々な種類のジュースを展開することができ、競合との差別化にもなります。
ジューススタンドは気軽に野菜やフルーツを摂取できるということで健康志向が高まる現代人にとって注目される存在ではありますが、原価率が高くなりがち、物件探しの際の立地条件もシビアという難しさがあります。
ジューススタンドの開業を考えているのであれば、仕入れのコストダウンのための工夫や立地での物件選びが本当にできるのかなどを事前にしっかり考えておきましょう。