飲食店開業には個人であっても法人であっても各種手続きが必要になります。社会保険とは『健康保険』『厚生年金保険』『介護保険』『雇用保険』『労災保険』の総称ですが、主に会社で働く社員を対象とした健康保険と厚生年金保険を指します。ここからは社会保険について、必要な手続きを紹介したいと思います。
法人登記をし飲食店を開業した法人オーナーの場合は、たとえ従業員が一人もいなくても社会保険への加入は必須です。
個人事業主として飲食店を開業したオーナーの場合には、何人従業員を雇おうとも社会保険への加入は任意になります。飲食店では現状、社会保険加入義務のある法廷業務とみなされてないため、個人事業主であれば社会保険に加入するかどうかはオーナーの裁量で決めることができるのです。
続いて、飲食店開業に必要な税務署への手続きについて紹介していきます。
法人の場合は以下の手続きが必要です。
法人設立届出書は、新たに会社を設立したときに必要な申請書類です。詳細は以下の通りです。
提出時期 | 会社設立後2か月以内 |
提出先 | 税務署 |
添付書類 | 定款のコピー・登記事項証明書・株式名簿・設立時貸借対照表 |
法人設立届出書は、新たに会社を設立したときに必要な申請書類です。詳細は以下の通りです。
提出時期 | 自治体によって異なる |
提出先 | 都道府県税事務所と市町村役場 注)両方に届出が必要です! |
添付書類 | 定款のコピー・登記事項証明書 |
青色申告承認申請書は確定申告を青色申告でしたい場合に、所轄の税務署にその申し出をするための提出する書類のことです。法人税の確定申告の方法には『青色申告』と『白色申告』がありますが、メリットの多い『青色申告』を提出することをおすすめします。詳細は以下の通りです。
提出時期 | 新規開業の場合、開業届提出後3か月以内に行えばその年の確定申告から適用になります |
提出方法 | 納税地の所轄の税務署へ持参または郵送 |
『棚卸資産』とは、在庫のことです。詳細は以下の通りです。
提出期限 | 最初の法人税の確定申告書の提出期限まで |
提出方法 | 納税地の所轄税務署に持参または郵送 |
『減価償却』とは高額な設備・機材などを数年にわたって経費計上していくことを指します。詳細は以下の通りです。
提出期限 | 法人設立第1期の確定申告まで |
提出方法 | 納税地の所轄税務署に持参または郵送 |
アルバイトや社員など、スタッフに給与を支払う場合に必要となる書類です。詳細は以下の通りです。
提出期限 | 開業の事実があった日から1か月以内 |
提出方法 | 給与支払事務所の所在地の所轄の税務署 |
給与支給人数が常時10名未満の店舗であれば、半年ごと(年2回)にまとめて納付する権利が得られます。こちらはその特例のための申請書です。詳細は以下の通りです。
該当条件 | 給与の支給人数が常時10名未満のお店 |
提出期限 | 必要に応じて |
提出先 | 納税地所轄の税務署 |
個人の場合は以下の手続きが必要です。
開業届は、個人事業を開業したことを税務署に申告するための書類です。詳細は以下の通りです。
提出時期 | 店舗オープンの日から1か月以内 |
確定申告の方法には『青色申告』と『白色申告』がありますが、メリットの多い『青色申告』を提出することをおすすめします。詳細は以下の通りです。
提出時期 | 新規開業の場合、開業届提出後2か月以内に行えばその年の確定申告から適用 |
アルバイトや社員など、スタッフに給与を支払う場合に必要になる届出書です。詳細は以下の通りです。
提出期限 | お店をオープンした日から1か月以内 |
配偶者や親族を従業員として雇う場合は『青色事業専従者給与に関する届出書』が必要になります。詳細は以下の通りです。
提出期限 | 新規開業の場合、開業届提出後2か月以内に行えばその年の確定申告から適用 |
続いて、飲食店開業に必要な警察署への手続きについて紹介していきます。
深夜酒類提供飲食店営業開始届は、深夜における酒類提供飲食店営業の届出 バーや居酒屋は、深夜0時を超えての時間帯(朝6時まで)に、お酒を提供する営業をする場合に必要な申請です。ですが、営業の常態として通常主食(米・麺・パンなど)と認められる食事を提供して営むお店(例えば、牛丼屋・ラーメン屋など)については、届出が不要となっています。しかしこれには明確な基準は設けられていない為、ご自身の店舗が該当するか否か迷われた場合には所轄の警察署(生活安全課)に問い合わせてみてください。深夜酒類提供飲食店営業にあたる例としては、以下の場合があります。
また、深夜酒類提供飲食店営業開始届の詳細は以下の通りです。
申請が必要な人 | 午前0時から日の出までの時間に酒類を提供する飲食店(一部例外を除く) |
期限 | 営業開始の10日前まで |
申請に必要な書類 | 深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、酒類のメニューを記載した書類、店舗の周辺地図、営業所の平面図、賃貸借契約書のコピー、使用承諾書、住民票(本籍記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し、法人の場合は、定款・法人登記事項証明書及び役員全員の住民票 |
キャバレー、クラブ、パブ、スナック、ラウンジ、キャバクラのような店舗は、風俗営業となるため、事前に所轄の警察署へ許可申請が必要になります。たとえ料亭や待合茶屋、そのほかの料理店であっても、設備を設けて客の接待をし、客を遊興させる営業であれば風営法における接待飲食等営業に該当し申請の義務が発生する点に注意しましょう。詳細は以下の通りです。
申請が必要な人 | 風営法における1号営業~5号営業、および特定遊興飲食店営業に該当する飲食店のオーナー |
期限 | 所轄の警察署に要確認 |
いかがでしたか。飲食店開業に必要な書類や届け出はたくさんありますが、店舗の経営スタイルに合わせて該当する申請は必ず行わなければなりません。もし申請をわすれていたものがある場合、後から営業停止などのトラブルになりかねませんので、申請する際は必要な届け出のチェックリストをつくり、抜け漏れがないようにしましょう。本記事が皆様の参考になれば幸いです。