パン作りの趣味が高じて、自宅でパン屋を開業したいと考える方も多いのではないでしょうか。自宅でパン屋を開業する場合、どれくらいの費用やどんな準備が必要かを解説します。
すぐに開業したいという方も、将来的に開業したいという方もぜひ参考にしてみてください。
自宅でパン屋を開業する場合、初期費用とランニングコストが必要になります。
自宅でパン屋を開業する場合必要となる初期費用は、開店に必要な資格の取得費用、厨房設備リフォーム費用、改装費用、厨房機器費用、宣伝費用などです。
必要な資格は飲食店営業許可・食品衛生責任者・菓子製造業許可の3つになります。これらの取得費用は、合計で4万2,000円程度です。
厨房設備リフォーム費用、店舗改装費用、厨房機器費用は、自宅をどの程度活用できるかによってもかかる金額が変わってきます。厨房設備リフォーム費用は50万~240万円程度を目安としておきましょう。販売スペースを作る場合は、その改装費用や内装工事費用も必要になります。ご自宅を活用してサンルームを作る場合は、50万円程度かかります。
厨房機器として必要なのは、業務用オーブン、発酵器、ミキサーなどです。グレードにもよりますが、最低でも40万円くらいかかると考えておきましょう。
口コミで広がるのを目指してこじんまりと始める場合でも、最初はチラシを作ってポスティングする必要があるでしょう。ご自身で作成して印刷すれば費用は節約できます。
自宅でパン屋を始める場合は、仕入れ費用や水道光熱費などのランニングコストが必要になります。売上があまりないうちはランニングコストとしてかかるお金を用意しておくことで、安定して営業することができるでしょう。
パン屋開業で必要となる資格や許可を知っておきましょう。
パンやお菓子の製造、販売に必要な施設の許可です。テイクアウトスタイルだけで、パンの製造と販売をしている場合は菓子製造業許可を取得していれば問題ありません。この許可を得るためには、保健所などに店舗の図面などを提出し、チェックに合格する必要があります。
手洗い場の設置基準やドアの設置基準などが細かく定められているため、それらをクリアするような設計でなくてはいけません。
食品製造に関するすべての人に必要とされる資格です。食品衛生責任者はその名のとおり、店内で販売される食品の衛生管理について取り扱う資格です。食品衛生責任者の資格は、栄養士や製菓衛生師などの定められた資格を取得するか、都道府県等が行う講習会に参加することが取得の条件となります。
イートインスペースを設けて店内で購入したパンをたべられるようにする場合は、飲食店営業許可が必要ということになります。飲食店としてふさわしい設備が備え付けられているか、店舗の構造は防火などの審査基準が設定されています。飲食店営業許可を得るためには、店舗の図面を保健所へ提出する必要があります。その後、実際に保健所の人の店舗内への立ち入り検査がおこなわれます。問題がないと判断されれば飲食店営業許可を得ることができます。
自宅でパン屋を開業するときは、まず必要な資格を取得する必要があります。どれも講習を受けることで取得できる資格です。
それと同時に自宅のキッチンを改装し、店頭販売できるようにリフォームを行いましょう。パン作りはスペースが必要になりますが、ご家族の生活スタイルを乱さずに済むようにしっかりとスペースを確保することをおすすめします。
開店日の目処が立てば、チラシづくりなどを行って宣伝活動を始めましょう。
自宅でパン屋を開業するメリットは、初期費用をかなり抑えられるというポイントです。店舗を借りて厨房設備を揃える場合、初期費用は約1,700万円かかると言われています。
自宅で開業する場合は規模は小さくなってしまいますが、自宅のスペースを活用して店舗づくりが可能です。ある程度売上ができるまで、今ある厨房設備でできる範囲の営業から始めることもできます。
自宅でパン屋を開業するのだから自宅のキッチンを使用していいというわけではありません。
自宅では家族と住んでいる場合がほとんどです。食品を製造するということは、清潔で安全な環境であることが基本です。
同居している家族が通ることのない環境で、なおかつ製造場所で食品を製造するときは、製造に関わる従業員として保健所に申請して定期的に検便を受けている許可を受けた人だけが入ることができます。
つまり自宅とはいえ、家族の生活スペースとは別に製造するための厨房が必要となり、家庭の調理に使うキッチンでは許可は取ることができないのです。
菓子製造業許可を取得するためには、都道府県知事が定めた製造施設、製造設備などの基準に適合している必要があります。つまり菓子製造業の許可は、場所に対するものとして考えることができます。パンやお菓子を作る厨房を定められた基準に設計、工事をして条件を満たす必要があるということなのです。
自宅でパン屋を開業するにはリフォームしなくてはいけないということを知っておきましょう。詳しい施設基準は、自治体の保健所に直接相談することをおすすめします。
細かい基準は自治体によって変わりますが、共通基準というものがあり、3つの要素から衛生面や施設上の基準があります。菓子製造業許可を取得するためには全ての条件を満たす必要があります。
その3つの要素は、構造と食品等の取り扱いの設備、給水及び汚物処理から形成されています。これらの要素には、さらに詳しい条件があり、それらを満たすため場合によっては、大規模な工事や工夫が必要となるケースもあるので、開業を予定している方は要チェックです。
自宅での許可の取得が現実的かどうか、不明点などもあらかじめ管轄の保健所で相談することをおすすめします。
菓子製造業許可を取得していない、もしくは菓子製造業許可の有効期限が切れた状態でお菓子類を製造、販売すると、食品衛生法違反に該当し、2年以上の懲役または200万円以下の罰金が課せられます。またインターネットで販売する場合にも、菓子製造許可を取得した施設での製造が義務付けられています。
自宅でパン屋を開業する際は、家族の生活スペースを保ちながらパンづくりをするスペースを作ることを意識しましょう。家族の生活スペースを占有してしまうと、家族が生活しづらい家になってしまいます。
また生活リズムを考えて営業することも大切です。パン作りは生地の生成から焼き上がりまで時間がかかります。早朝から作業を始めることで、家族が生活するスペースをキープするという方法もありますが、寝静まっているうちから作業をすると家族の生活リズムが狂ってしまうこともあります。
家族の生活をできるだけ崩さず営業できるように考えて、スペースを確保したり、営業時間を設定したりするようにしましょう。