日本食の需要が高まる今、海外に進出する飲食店が増えています。開業の手順を知ってスムーズな海外出店を目指しましょう。
さまざまな理由から人気を集める日本食は世界において店舗数が増加しています。
海外では異なる食文化の中で日本食は、味の良さ、安全性、健康面から好まれる傾向にあり、付加価値が高くなっているため、海外では高めの価格設定も可能になります。
日本国内では伸び悩む飲食店は市場が縮小しつつある一方で、海外では日本食レストランは右肩上がりに増加中なのです。海外出店は飲食店にとって大きなチャンスといえるでしょう。
飲食店を海外展開するメリットは以下が挙げられる。
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産として登録されたり、世界的な健康志向の高まりなどから、日本食の需要は世界中で高まっています。
今後も世界中で日本食の需要が伸びていくと考えられ、飲食店の海外進出は事業拡大のチャンスともいえます。
少子高齢化や新型コロナウィルスの影響などで市場は縮小しつつある日本国内の飲食店では供給過多状態となっています。そのため、国内で需要の取り合いをするよりも、海外展開をすることで販路を拡大できる可能性が高いといえます。
また海外での日本食は付加価値が高く、価格設定も変わってくるため売り上げの増加が期待できます。現地の物価が安ければなお、食材費などのコストを抑えることができ利益が出やすい環境となります。
国内に出店している店舗が海外進出することは、国際的に認知され、世界で注目を集めているなどのブランドイメージや付加価値がつくことが考えられます。
それは競争の激しい国内市場で差別化を図るための付加価値となり、店舗全体に大きなメリットにつながります。
海外出店ではさまざまなチャンスに恵まれるといったメリットがある一方で、異文化ならではのデメリットもあります。それらは海外で飲食店を開業する際の注意点ともなるためしっかりと理解しておくことが重要です。
言葉の違いや文化の違いはもちろんのこと、宗教への価値観、取引に関する習慣や法律制度などを深く理解しておく必要があります。その国に合った対応ができなければ大きなトラブルの原因となる可能性も考えられるのです。
海外で開業を考えている場合には、独自に調査をすすめるだけでなく、現地に精通したビジネスパートナーや企業との連携を試みることをおすすめします。
海外での出店は、国によって現地人材を雇用することが法律で定められている場合があります。その場合には、日本人スタッフだけではなく、現地のスタッフに働いてもらうことになりますが、ここでもまた言葉の壁やその国その地方の人々の文化などが関係してきます。
日本人のように働いてくれない場合もあるかもしれません。
それに加えて社会情勢などが絡んでくることも考えると労働環境の整備やスタッフの管理、育成が難しいことは理解できるのではないでしょうか。国にあった価値観や文化で働く仕組みを整えていくことを心がけてください。
国ごとの規制や手続きが異なるため、具体的な手順はその国によって異なります。ここでは一般的な流れを解説します。
出店を決めた現地の情報収集をおこないましょう。できるだけ多くの情報を得るためには、さまざまなツールを駆使して飲食業界の状況、競合、消費者のニーズや動向、流行を調査します。情報が古くならないように常にアンテナを張っておくことが必要です。
同時にコンセプトやメニュー価格設定や予算などの事業計画を作成します。労働法、健康・衛生規則、税法、労働ビザ要件など、現地の法律をしっかり理解し遵守することが不可欠です。
ビザや居住許可は海外でビジネスを行うために必要となります。他に会社設立、商業ライセンス、飲食店営業許可などの登録や必要な許可も併せて取得しましょう。
自己資金や融資、などで必要な資金を調達します。公共の金融機関には日本政策金融公庫があります。開業資金だけでなく、運転資金や予備資金も確保することが重要です。予期しない費用が発生することを考慮し、余裕を持った資金計画を立てます。
ターゲット顧客にアクセスしやすい立地を選び、賃貸契約の条件を確認し、交渉することになりますが、ここで注意したいのが日本とは価値観が異なることです。
周辺の治安や地域住民の宗教については特に詳しく調べ、有識者にアドバイスをもらうことも有効です。物件選びに限らず、事業に関する契約書などを交わす際に、法的な観点からリーガルチェックが必要となるため、弁護士や現地の経営コンサルタントのサポートを受けるようにしてください。
物件が決まったらレストランの内装や設備の設計・施工を行います。
現地のニーズに合ったメニューを開発しましょう。それに伴った食材や飲料の仕入れ先を確保し、安定した供給を確立します。
現地の文化や習慣を理解し、それに合わせたメニューやサービスを提供することが重要です。文化的な誤解や不適切な行動は避けるよう気をつけましょう。
現地採用が必要な場合には、採用方法をあらかじめチェックしておく必要があります。現地採用についてのコネクションが見つからない場合には、海外就職に特化した求人サイトや現地の人材紹介サービスなども活用してみましょう。
サービスや料理の品質を維持するためのトレーニングを実施します。コミュニケーションが円滑に行えるようにすることが重要です。
海外でのマーケティングは重要です。オープニングイベント、広告、SNSを利用したプロモーションなど、多少費用をかけることを覚悟して、顧客を引き付けるようなマーケティング戦略を実行します。
ソフトオープンで正式な開業前にテスト営業を行い、問題点を洗い出します。その後グランドオープンで正式に開業し、ビジネスを開始することになります。
海外で飲食店を開業する一般的な流れは、日本で開業する場合と大きな違いはありません。しかし言葉や文化、市場の違いなどが大きいため、現地での経験が豊富な信頼できるパートナーやコンサルタントを見つけると、ビジネスの立ち上げがスムーズになります。
また政治的、自然災害リスクに備え適切な保険に加入し、予期せぬ事態に備えます。また現地の労働法や環境にかんする知識も知っておく必要があります。現地のビジネス環境や消費者の嗜好は変化するため、常に学習し、柔軟に対応する姿勢が重要です。
計画的に準備を進めることで、海外での飲食店開業の成功確率を高めることができます。現地の専門家やコンサルタントのサポートを受けながら成功の可能性を高めましょう。