飲食店の物件を取得する際は物件の広さも重視しなければなりません。提供するメニューやコンセプトによって必要な広さは違います。そこで本記事では、厨房の面積や座席数などから、適切な広さの物件を見つける方法を紹介します。コンセプトに合った理想の店舗づくりをしたい方は、是非最後までご覧ください。
飲食店の広さを考える上で特に大切なことは、以下の3つです。
また、飲食店と一口に言っても提供するメニューやコンセプトによって求められる広さは違います。それぞれの理想を明確にした上で下記の条件をふまえて物件を選ぶようにしましょう。
飲食店の広さを考える上で重要なのが厨房の広さです。快適に調理をするためのスペースを確保しつつ、客席とのバランスも考えなければなりません。狭すぎると作業がしにくくなったり食材を保存しにくくなったり、提供に時間がかかってしまう可能性もあります。広すぎると客席を充分に確保できない、作業に無駄な動きが多くなる、清掃の手間がかかるなどの負担も出てきます。以下は、基本的に必要とされる厨房の広さの目安です。
物件の広さの20%~40% | 一般的な飲食店の場合 |
物件の広さの15~20%程度 | カフェやバーなど、メニュー数が少ない、調理工程が少ない、厨房に配置する従業員の数が少ない場合 |
物件の広さの20~30% | 居酒屋、ラーメン屋、蕎麦屋など、メニュー数が多い、調理工程が多い、調理のための専用の厨房機器が必要な場合 |
物件の広さの30%~40% | 本格的なレストランや和食屋など、本格的な調理をおこなったりメニューの質にこだわっていたりする場合 |
厨房面積の比率を決めたら、客席スペースに何席確保するかを決めましょう。飲食店の座席の考え方は、1坪あたり1.5~2.5席が目安です。1坪あたりの客席数が多ければ多いほど多くの客席を確保できますが、その分窮屈な印象になります。ゆったりとした時間を過ごしてほしい、高級感、特別感のある飲食店にしたい場合は1坪あたりの客席数を少なくする必要があります。
厨房面積、客席数の他、意識しなければならないのが客席稼働率です。実際にどれくらいの割合の客席が埋まっているかを示すもので、飲食店の客席稼働率の目安は70%が望ましいです。4人席に1人しか座っていないと客席稼働率は下がり、客席数が少なすぎると回転率が悪くなってしまいます。飲食店に訪れる人が家族連れが多いなら複数人で座れるテーブル席を増やす、ランチなどで一人で利用する人が多いなら少人数で利用できる客席を多くする、カウンター席を用意するなどの工夫で客席稼働率を上げられます。混雑時により稼働率を高めるために、一定人数以上でなければテーブル席に案内しない、相席をお願いするなどの方法もあります。
厨房の面積、客席数の目安、客席稼働率以外にも、物件や厨房の広さに関わってくるポイントがあります。実際に物件や内装を決める時は、これらの点も意識してみると良いでしょう。
フロア、厨房ともに、スタッフの作業効率が良くなるようにしなければなりません。例えば、あえて余分なスペースは作らず、料理を調理してテーブルへ運ぶまでの移動距離が最短になるようにする等です。スタッフが効率的に動けることで、経営安定にも繋がります。
コンセプトに沿った理想の物件を選んだとしても、売上とコストのバランスによっては経営を続けることが困難となります。そのため、理想的な物件取得にかかる費用とランニングコストを照らし合わせることが必要なのです。
狭い物件の場合、理想的な厨房の面積や客席数を確保することは難しいですよね。しかし、そんな時でもオープンキッチンを活用することで、問題が解消されることがあります。オープンキッチンなら、少人数でのオペレーションが可能となり、オーダーから提供までのスピードを上げることができます。また、お客様は目の前で調理するライブ感やコミュニケーションを楽めるといったメリットがあります。
物件や厨房の広さを決める際は、顧客満足度についても考えるようにしましょう。例えば、厨房の出入口付近にテーブルやカウンターがあると、人によっては落ち着いて食事をとれないこともあります。その他にも、トイレの近くの客席やスタッフの動線となる客席は、せっかくの食事の時間を妨げないような工夫が必要です。これらの点も考慮して、場合によってはその部分の客席は作らない前提で、物件の広さを考えるようにしましょう。
飲食店の広さの目安は厨房面積、客席数、客席稼働率などから考えられます。どんな料理を提供するのか、どんな飲食店なのか、どんなコンセプトなのかによっても求められる広さは大きく異なります。目安の数字だけでなく、開業する飲食店のコンセプトを明確にし、それを実現するために最適な広さを導き出すことが大切です。よりコンセプトを再現できる空間作りも意識し、売り上げをアップさせる稼働率なども常に意識しましょう。