飲食店を開業する方法には、路面店のほかにテナント出店という方法があります。
テナント出店は主に集客面で大きなメリットを受けられる反面、いくつかのデメリットもありますので、飲食店を開業する際は慎重に検討しましょう。
今回は飲食店のテナント出店の特徴やメリット・デメリット、出店の費用を抑えるコツについて解説します。
テナント出店とは、ショッピングセンターやデパートといった商業施設の一画を借りて開業する方式のことです。
テナントの形は商業施設によって異なり、パーティションや内壁で区切られているところもあれば、仕切りを設けないオープンスタイルを採用しているところもあります。
テナント出店のメリットは大きく分けて5つあります。
路面店の場合、自力で店舗のPRを行わないとなかなか集客することができませんが、商業施設なら自然とお客さんが集まってくるので、集客の手間とコストを省けます。
また、複数の店舗が軒を連ねている商業施設では、ワンストップで買い物などの用事を済ませられるため、購買意欲の高いお客さんが集まりやすいという特徴があります。
テナント出店では商業施設に賃料を支払いますが、その中には建物の維持管理費も含まれています。
自ら建物のメンテナンスを行ったり、駐車場を整備したりする必要がないぶん、コストを節約することができます。
大型商業施設の中には、クレームやトラブル対応を専門に行っている「お客様相談室」や「カスタマーセンター」などが常設されているところもあります。
このような設備がある商業施設にテナント出店すると、万一トラブルが発生した場合、適切なサポートを受けられる場合があります。
テナント出店にはさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあるので要注意です。
テナント出店する際は、商業施設と賃貸借契約を締結し、毎月一定の賃料を支払うことになります。
賃料のルールは商業施設ごとに異なりますが、多くの場合は月額の売上額に一定の売上歩率を乗じて計算する「売上歩合方式」を採用しています。
路面店の場合、FC店でなければ毎月の賃料は固定制なので、売上が多いほど手元に残るお金も増えますが、テナント出店では売上が多いと賃料も高くなるのがネックです。
テナント出店の契約期間は一般的に2~5年程度ですが、お客さんから寄せられるクレームが多い店舗や、トラブルが頻発する店舗は、期間満了を待たずに契約を解除されてしまうことがあります。
契約を解除されたら速やかに立ち退かなければならないため、営業を続けるなら他への移転や引っ越しを検討する必要があります。
テナント出店は応募すれば誰でも採用されるわけではなく、商業施設側がこれまでの実績や評判などを考慮した上で許可するか否かを決める仕組みになっています。
初めて出店する場合は過去の実績がないぶん、既存店よりも若干審査で不利になる可能性があります。
テナント出店にかかる費用を抑えるために、実践したい方法を2つご紹介します。
複数のメニューを提供するとなると仕入れにかなりの費用がかさみ、出店時の負担が大きくなります。
店のコンセプトや、商業施設の客層などをもとにメニューを絞り込めば、仕入にかかるコストを節約することができます。。
フライパンや包丁、鍋などの厨房機器を一から揃えるとなると、多額の費用がかかってしまいます。
そんなときは中古の厨房機器を上手に活用し、什器にかかる費用の節約を図りましょう。
きちんと手入れされた厨房機器なら、たとえ中古品でも長持ちしますし、衛生的にも問題はありません。
店の経営が軌道に乗ったら、少しずつ新品に買い替えることもできますので、出店費用を節約したいときは中古の厨房機器の購入も検討してみましょう。
テナント出店は集客の手間を省ける、コストを節約できるといったメリットがある一方、出店費用がかかる、契約解除のリスクがあるなど注意しなければならない点もあります。
メリットばかりに目を向けていると、いざ出店したときに後悔しやすいので、デメリットや注意点もしっかり理解した上で出店を検討することが大切です。
費用がネックの場合は、コンセプトに合わせてメニューを絞り込んだり、中古の厨房機器を上手に活用したりすれば、費用を抑えて出店できるでしょう。