人気急上昇中のゴーストレストランの開業。手順と成功の秘訣を知っておくことは重要です。
ゴースト・レストランは、電話あるいはネットからの注文にのみ応じて食事を調理しデリバリーするのを専門とする、ニューヨーク発祥の飲食業態です。実店舗を持たず、見えない存在であることからゴーストと称されていますが、クラウドキッチンやバーチャルレストランと呼ばれることもあります。
客席と厨房を備えたレストランとしての実店舗を持たないことで、より安い家賃の物件で営業が可能で経費を抑えることができます。客席を作らず、スタッフを雇わないことで経費を節約するのです。つまりキッチン設備さえあれば、初期費用をほとんどかけずに始めることができるのがゴーストレストランなのです。
近年の世界的な感染症により、外食産業が落ち込んだ時期から急成長し、あらたなビジネスモデルとして定着しつつあります。実店舗を持たず、デリバリーによる販売が中心のゴーストレストランでは、シェアキッチンなどを間借りして調理をおこなうこともでき、そのキッチンひとつで複数の店舗を展開することも可能となります。
利用者がキッチンを実際に見ることはないため、注文先がゴーストレストランかどうか判断されづらいという点があります。ネット上ではしばしば、「ゴーストレストランやばい、という声が聞かれゴーストレストランの実態が知られていないのも事実です。
しかしながら、ゴーストレストランが違法ではあるというわけではありません。それは、ゴーストレストランを開業するために「飲食店営業許可証」と「食品衛生責任者の資格」が必要であり、これは通常のレストランと同様の許可と資格となるからです。
それでは、ゴーストレストランを開業する場合の手順をみていきます。
ゴーストレストランであっても一般的な飲食店と同じように料理を提供するといった点では同じであるため食品衛生責任者資格が必要となります。
食品衛生責任者資格は、食品の衛生管理が必要な事業をおこなうために求められる資格で、食品を扱う店舗を営業する場合には、施設ごとに食品衛生責任者を置かなければいけません。
食品衛生責任者の資格は1日の養成講習会を受講することで取得できます。講習の内容は、公衆衛生学と衛生法規、食品衛生学となっており、修了試験が用意されていますが問題なく回答できる内容となっています。
ゴーストレストランであっても、飲食店営業許可をとる必要があります。飲食店営業許可は最寄りの保健所で申請することになりますが、食品衛生責任者の資格を所持している者が一人キッチンにいることが条件となります。申請書類を提出すると、施設の設備などのチェックがおこなわれ、基準を満たしていれば飲食店営業許可が下ります。
調理するキッチンを確保したら、デリバリー代行サービスに登録します。デリバリー代行サービスとは、Uber Eatsなどが該当します。登録時に手数料がかかり、利用するときには配達手数料がかかります。今はさまざまなデリバリー代行サービスがあるため、それぞれのシステムや料金体系を確認して、最もよい選択をすることをおすすめします。デリバリー代行サービスは登録すればすぐに利用可能ですが、審査があるため必ず登録できるわけではないので注意が必要です。
上記以外にも、デリバリー用の容器を確保したり、メニューの作成や写真撮影などこまかな作業がありますが、大まかな手順の流れとしては3つとなります。
このように通常のレストランであれば、客席を確保することで、他のさまざまな許可や申請、制限などが必要となるところですが、ゴーストレストランでは簡単に1~2ヵ月と短期間で開業することができます。
ユーザーが求めるものを提供することが重要です。さらに配達の手間やコストを考えて飲食物を提供する必要があります。
ケータリングやイベントに参加するなど大量に受注することで知名度をあげることもできるでしょう。
他のゴーストレストランとの差別化も重要です。ありふれたメニューや価格では競合店に勝つことは難しいかもしれません。そのためにトレンドを意識した独自のメニューが必要となってくるでしょう。
またSNSはHPを賢く利用することも重要です。店舗用のSNSやホームページを開設するなどして、目を引くような写真を投稿することは集客にもつながります。
美味しい料理と安心して利用できる一定のホスピタリティが求められるのは、通常の飲食店と同じことです。メニューの写真などどあまりにも違いすぎるものを提供してしまうとネガティブな口コミがふえてしまうかもしれません。安心してオーダーしてもらうために、キッチンの画像をアップするようなこともおこなうといいでしょう。
リピーター獲得のためには、次回も利用したいと感じてもらうことが重要です。クーポンやHPのURLを載せたお店の名刺のようなカードを同梱することは非常に有効な手段です。新規のユーザーだけでなく、リピーターを意識することで集客を成功させましょう。
ゴーストレストランは新しいレストランの形として認識されてきています。低予算でも開業しやすいとして、これからもゴーストレストランは増えていく傾向にあるといえます。ゴーストレストランならではといった部分に着目することで、増えていく競合から勝ち抜けることも可能となるのではないでしょうか。