焼き芋屋は儲かる？開業の流れと経営の実情

寒い季節になると食べたくなる焼き芋。近年は移動販売だけでなく焼き芋専門店といった店舗型も人気があります。

焼き芋屋とは

焼き芋屋とは、さつまいもを焼いて提供する屋台や店舗、または移動販売を行う事業のことを指します。

焼き芋は、日本では古くから親しまれている冬の風物詩となっており、お決まりの「やきいも～ 石やきいも～」の放送を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。シンプルで素朴な味わいが特徴で、あつあつの焼きたての焼き芋は特に寒い時期にはおいしく感じます。焼き芋屋は、その焼きたての甘くてほくほくした焼き芋を提供することで、多くの人々に喜ばれています。

焼き芋屋の特徴

焼き芋屋には以下のような特徴があります。

販売形態

焼き芋屋は、屋台やトラックを使った移動販売が一般的ですが、固定店舗で販売されることもあります。特に秋から冬にかけての寒い季節に需要が高まります。

焼き方

焼き芋屋では、さつまいもを石焼きにしたり、炭火やオーブンで焼く方法が一般的です。石焼きは、さつまいもを石の上でじっくりと焼き上げることで、甘みを引き出し、皮はパリッと、中はしっとりとした食感になります。

商品の種類

基本的には焼き芋をメインに提供しますが、近年では焼き芋を使ったスイーツや加工品、異なる品種のさつまいもを使用したバリエーション豊かな商品も増えています。

顧客層

焼き芋は幅広い年代に親しまれており、特に健康志向の高い人々や、自然の甘さを楽しむ方々に人気があります。また、焼き芋は持ち運びがしやすく、手軽に食べられるため、忙しい日常の中でちょっとしたおやつとしても利用されています。

季節性

焼き芋屋は特に寒い季節に活発になる傾向があります。寒い日に焼きたての暖かい芋を食べるという体験が、多くの人に喜ばれる要素となっています。

焼き芋屋は、シンプルながらも高品質な焼き芋を提供することで、地域に根付いた存在として親しまれており、懐かしさや季節感を楽しむことができる文化的な側面もあるといえます。

焼き芋屋は儲かる？

ひと昔前までは、軽トラを改造した屋台販売が一般的でした。近年はスーパーマーケットでも販売していたり、焼き芋の専門店も登場しています。このようにライバルが増えている中でも、昔ながらの屋台販売は儲かるようで、年収は600万円ほどになる場合もあります。

屋台の焼き芋屋さんは、基本的に芋問屋からまとめてさつま芋を仕入れます。ブランドによって若干の価格の差はあるものの基本的には、安く仕入れて高く売れるといったからくりがあります。

つまり利益率が高いということです。農家などから一括で仕入れると、中には普通に売ることができない規格外のさつま芋などが混ざっています。しかしそれらを焼くことで1本10円程度で仕入れたものが、焼き芋として販売されるころには何十倍もの値段にかわるのです。これが屋台の焼き芋屋が儲かる理由といえます。

しっかり店舗を構えて焼き芋屋を営業する際には、上記と同様というわけにはいきません。家賃や電気代、その他のコストがかかるからです。

焼き芋屋開業の流れ

屋台の焼き芋屋

焼き芋の移動販売は営業許可が不要で厚生労働省へオンラインで届け出をするだけで完結するため、開業までのハードルが低いといえます。軽トラと焼き芋機と芋があれば、誰でも簡単に開業することが可能です。

実は食品衛生法の営業許可や道路使用許可なども必要ないのです。また、荷台からおろしたりすることができる可動式のタイプの焼き芋機であれば消防法の規制にも該当しません。

軽トラックやキッチンカーを購入する必要がありますが、中古車でも50万円から100万円程度がかかります。また焼き芋を焼く専用の機器が必須ですが、価格は10～30万円ほどとなっています。

店舗での焼き芋屋

店舗販売は、焼き芋専門店を開設する方法です。この場合、特定の場所に店舗を構え、そこで焼き芋を販売します。

店舗販売では地域に愛される焼き芋屋さんとしてリピーターを作ることができます。そのためターゲット層の確認、競合分析、立地の選定などマーケティングをおこう必要がありでしょう。

またテイクアウト専門とした場合でも、開業届の提出、食品衛生責任者の資格を取得し、営業許可を取得する必要があります。

場所の確保

店舗物件の契約、それに伴った内装工事が必要となります。人出の多いエリアへの出店で高収益が目指すことができます。商業施設内に焼き芋専門店の店舗を構えたり、駅の近くなどの物件がおすすめです。

資金調達

自己資金なのか融資を受けるのか、事業計画を作成して検討しましょう。フランチャイズに加入することで開業費用を抑えることが可能となります。

仕入れと開店準備

さつま芋の仕入れをおこない、最適な焼き方を研究し、自店の味を確立します。温度管理や焼き時間を徹底し、品質を一定に保つことが重要です。SNSやウェブサイト、地元紙への広告、チラシ配布などを通じて、オープン前から店舗の認知度を高めることもわすれてはいけません。

焼き芋屋経営を成功させるコツ

焼き芋屋のビジネスは、成功するかどうかがさまざまな要因に依存します。

品質の高い焼き芋の提供

高品質なさつまいもを選ぶことが重要です。品種や産地によって味や食感が異なるため、特定の品種にこだわることで差別化をはかることができます。

また焼き方にもこだわると、温度や焼き時間、焼き方によって味が大きく変わってきます。さつまいもの甘みを最大限引き出す焼き方を研究し、自分ならではの方法を確立することが成功のコツのひとつです。

店舗の立地と移動販売の選択

固定店舗での焼き芋か、トラックや屋台での移動販売かを検討しましょう。移動販売は柔軟に顧客が多い場所に移動できるメリットがありますが、固定店舗はリピーターの獲得や安定した経営がしやすいといったようにそれぞれにメリットといえる側面があります。固定の店舗で販売する場合には人通りが多い場所や、寒い季節に暖かい焼き芋を求める需要が高いエリアを選ぶと成功しやすいです。

ブランディングとマーケティング

ロゴやパッケージデザインにこだわり、焼き芋屋としてのブランドを確立しましょう。焼き芋を食べたくなるようなビジュアルやコンセプトを作ることが重要です。

InstagramやTwitterなどのSNSを活用して、自店の焼き芋の美味しさやこだわりをアピールすることは効果的で特にビジュアル的な投稿は非常に有効な手段です。

焼き芋といえば冬場をメインに考えることが多いですが、季節限定の商品やイベントを通じて、年中需要を喚起する戦略なども考えるといいでしょう。

接客とサービス

焼き芋は親しみやすい商品であることをふまえて、スタッフの対応や接客にも気を配りましょう。お客さんとの距離感を大切にし、リピーターを増やす工夫が必要となります。購入後の満足度を高めるため、包装や提供方法、焼きたての時間帯などを計算することをおすすめします。

コスト管理

仕入れコストと販売価格のバランスを取り、適切な価格設定を行うことが重要です。無駄なコストを抑えつつ、品質を保つ努力が必要です。効率的な作業手順で人件費や光熱費などのコストを最小限に抑える工夫をします。

これらの要素を総合的に考え、焼き芋屋としての個性や強みを磨くことで、成功への道が開けるでしょう。

まとめ

焼き芋屋は利益率が高く、儲かりやすいといえます。しかしながら、天候や季節に左右される部分も大きく、不安定な要素もあります。また競合との差別化が難しいことからオリジナリティを出すこと、焼き方を工夫することなどが求められます。